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山梨の食文化とその土地に根付いた生産者を紹介する「テロワールな人」。今回ご紹介するのは、南アルプスの豊かな自然の中でダチョウを愛情深く育てる「南アルプスオーストリッチファーム」の農場長・中島さんです。


1.予期せぬ出会いから始まったダチョウ飼育


「もともとダチョウのことなんて、皮のイメージしかなかったんです」。そう語る中島さんがダチョウと出会ったのは、愛知県での営業活動中。道の駅で偶然ダチョウ肉に出会い、その味に驚かされました。「まるで牛肉のようで、あっさりしているのにしっかりと旨味がある。こんな肉があるのか!」

その衝撃を社内に持ち帰り、新規事業としてダチョウの飼育を提案。会社所有の土地を活用し、2013年に南アルプスオーストリッチファームが本格始動しました。以来、試行錯誤を重ねながら、ダチョウの特性に合わせた独自の飼育方法を確立してきました。


2.愛情と知識で育てられるダチョウ


「ダチョウはとても臆病な動物です。少しのストレスでも体調を崩してしまうんですよ」。

ダチョウは広いサバンナを駆け巡るイメージが強いですが、実際は繊細で、環境の変化に敏感な生き物。特に繁殖に関しては相性が大きく影響し、一組のつがいが成立するかどうかは慎重に見極める必要があります。「突然手を挙げたり、指をさしただけで驚く子もいる。だからこそ、極力ストレスをかけないように、細心の注意を払って育てています」

飼育環境も一般的な家畜とは異なります。「一般的に家畜の衛生管理は厳しいですが、ダチョウの場合はさらに気を遣う必要があります」。農場では、履物や衣服まで品質管理が徹底されています。「生まれた瞬間から徹底した衛生管理を行い、安心して食べてもらえるようにしています」と中島さんは語っておられました。


3.ワインの恵みを活かした新たな挑戦


このファームのもう一つの特徴が、山梨ならではのワインパミス(ブドウの搾りかす)を活用した飼料です。「ワインの搾りかすにはポリフェノールが豊富に含まれていて、健康にも良いと考えています。せっかく山梨にいるのだから、地のものを活かしたいという想いから始めました」。

実際にワインパミスを活用した飼料を食べたダチョウは、健康状態も良好で、肉の色味にも変化が現れているとのこと。「まだまだ研究段階ですが、こうした取り組みを続けていくことで、より良い品質のダチョウ肉を提供できるのではないかと思っています」。


4.日本におけるダチョウ肉の未来


現在、日本国内ではダチョウ肉の流通量はまだ少なく、その生産は容易ではありません。「ヒナの生存率は決して高くなく、生まれたうちの半数ほどしか成鳥にならないのが現状です」。それでも、中島さんは「少しずつでもダチョウ肉のファンを増やしていきたい」と語ります。

「ダチョウ肉は高タンパク・低カロリーで鉄分も豊富。ヘルシーでありながら旨味もしっかりしていて、和食にも洋食にも合うんです。料理人の方々と一緒に、ダチョウ肉の魅力を広めていきたいですね」ということでした。ちなみに、日本酒との相性も抜群なんだそう。

また、今後の展望として、県内での食肉処理場の開設を計画中。「県内で一貫した生産体制が整えば、より多くの方にダチョウ肉を届けることができるようになります」。


5.愛情を込めて育てたダチョウを、多くの人へ


「ダチョウを見てみたい」と訪れる人も多いものの、現在は衛生管理の観点から一般公開には慎重で、制限を設けています。しかし、それは、一羽一羽に愛情を注ぎ、安全・安心な肉を提供することに全力を注いでいる裏返しでもあるのです。

「食べた方に『おいしい』と言ってもらえることが何よりの喜びです。これからも、ここ南アルプスで大切に育てたダチョウを、多くの人に届けていきたいと思います」。

ダチョウへの深い愛情と、試行錯誤を重ねながら理想の飼育を追求する姿勢。そこには、まさに「テロワールな人」としての誇りがありました。

南アルプスの大地が育む、新しい食の可能性。


ダチョウ肉に出会ったときには、その背景にある愛情と情熱に、ぜひ思いを馳せてみてはいかがでしょうか?

ダチョウ飼育にかける情熱と愛情に感動

コーディネーター

山本幸男

南アルプスオーストリッチファーム 農場長・中島さん

つくり手から見た山梨テロワールのすばらしさ!

テロワールという観点から、ダチョウをこの地で育てることに関して中島さんは二つのことを感じておられました。

  • 気候の特徴
    南アルプスの地は、昼夜の寒暖差が大きく、ダチョウの生育に適しています。サバンナの気候と似ており、夜間の涼しさがダチョウの体調管理に良い影響を与えているのだそう。


  • ワインパミスの活用
    山梨ならではの特色として、ワインパミス(ワインの搾りかす)を飼料に取り入れています。これにより、肉の風味や色味に変化が現れていると考えられています。これはまさにワイン県・山梨のワイン文化と畜産を融合させた取り組みの一環ですね!



DATA

●生産者名:

●産地:山梨県南アルプス市

●ダチョウ肉

 【見積2024.12.19現在】2024.12.20追記

 フィレ肉 100g  650円

 もも肉  100g  620円

 ドラム肉 100g  560円

 ひき肉 500g 1,500円

 ダチョウ卵 1kg  3,000円

 ソーセージ(粗挽き・フランク・チョリソ)1P 800円

 ※販売は、株式会社 中村商事

●出荷時期:通年(卵を除く)


推し食材の記事も併せてご覧ください▶︎▶︎▶︎https://y-terroir.pref.yamanashi.jp/recommend/wineorstrich


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